ヴィーガンとは?ベジタリアンとの違いや選択する理由を紹介
近年、健康志向や環境保護をはじめとする観点から「ヴィーガン」というライフスタイルが注目を集めています。ヴィーガンを選択する理由は「健康的になりたい」、「動物を処分してほしくない」など多岐にわたります。
しかし、ヴィーガンとベジタリアンの違いや、なぜ人々がヴィーガンを選択するのかについては、まだ十分に理解されていない部分も多いのが実情です。
この記事では、ヴィーガンとは何か、ベジタリアンとの違い、日本におけるヴィーガンやベジタリアンの現状、そしてヴィーガンを選択する理由や注意点について詳しく解説します。
ヴィーガンとは
ヴィーガンとは、「動物性食品」を一切食べないだけでなく、毛皮などの「動物由来の製品」も身に着けないライフスタイルのことを指します。これは、食事以外にも環境面や動物の命を大切にしたいという考えからきているライフスタイルです。
食事においては、上記のことから動物性食品をすべて避け、植物性食品だけを食べる「完全菜食主義者」の生活を指します。
そのためヴィーガンの方は、日本人が好むお寿司やラーメン、焼き肉などは食べられません。また、肉や魚だけでなく、牛乳などの乳製品や卵、蜂蜜なども避けるのが特徴です。
どうしても食べたい場合は、このメニューから動物性食品をすべて取り除いて作る必要があります。このヴィーガンですが、ベジタリアンとはどう違うのでしょうか。
ベジタリアンとの違い
ベジタリアンにはいくつかの種類があり、ヴィーガンはベジタリアンの中の一つとなっています。
一般的に、ベジタリアンもヴィーガン同様に植物性食品をメインに食べる生活ではありますが、ヴィーガンと比べて生き物を殺傷せずに得られる動物性乳製品や鶏卵を食べることが大きな特徴です。
ベジタリアンには、大きく分けて以下の3つに分けられます。
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- ・オボ・ベジタリアン
卵は食べるが、乳製品は食べない人
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- ・ラクト・ベジタリアン
乳製品は摂取するが、卵は食べない人
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- ・フレキシタリアン
基本的には植物性食品を食べるが、動物性食品を食べることもある人
日本のヴィーガン・ベジタリアンの人口
日本においても、現在におけるヴィーガンやベジタリアンの人口はまだ少数派とはいえ、徐々に増加しています。割合としては、日本人全人口の約2.4%をヴィーガン、約4.5%をベジタリアンが占めています。割合としては低いと感じるかもしれませんが、年々増加の傾向にあるのが実情です。
このような需要の増加により、昨今の日本の都市部ではヴィーガン対応のレストランやカフェは増加しています。
日本は古くから採食中心の食文化を持っており、精進料理などの伝統的な料理がヴィーガンに近い形態を持っていることも増加の要因となっていることが考えられるでしょう。
また、「フレキシタリアン」と呼ばれる、動物性食品を少しだけ食べる方も増えてきています。
ヴィーガンが注目されている背景
日本は宗教などによる食生活の大きな縛りがない国です。しかしそんな国においても年々増加している「ヴィーガン」が注目される背景にあるのは一体なんでしょうか。
これは、宗教などではなく「健康志向の高まりや環境問題への関心」が挙げられます。
これはSDGsの目標13にある「気候変動に具体的な対策を」にも該当する考え方ともいえるでしょう。
また、動物福祉や倫理的な観点からもヴィーガンを選択する人が増えています。
このように、ヴィーガンというライフスタイルを選択するきっかけや理由は必ずしも皆が同じではなく、それぞれの考えから選択しているといえます。
ヴィーガンの歴史
ヴィーガンという言葉は、今から半世紀以上前の1944年にイギリスで誕生しました。
さらに、同国で設立されたヴィーガン協会の前身である「動物の体・卵・そして新たに乳も食さない協会」によって「動物性食品を一切摂取しないライフスタイル」がヴィーガンという言葉として発表されました。
その後、世界中に広まっていき、現在では多くの国でヴィーガンが認知されています。
また、時代をさかのぼると宗教や哲学の思想から、インドやギリシャでもイギリス同様に菜食主義者がいたことが分かっています。
ヴィーガンという言葉は用いずとも、同じように植物性食品を食べるライフスタイルはさまざまな理由で多くの国で行われていた記録があります。
ヴィーガンを選択する理由
ヴィーガンを選択する理由はたくさんあります。
以下では、大きく4つに分けた理由をそれぞれ順番に解説します。
理由①健康に関心をもったため
「健康」に関心を強く持ったことからヴィーガンのライフスタイルを選択する方がいます。
過去に大病を患った経験がある方が食生活を改善するために選択したり、加工食品や食品添加物の実態を知り食生活を見直すためだったりと多くの理由があります。
ヴィーガン食を継続することで、心臓病や高血圧、糖尿病などの生活習慣病のリスクを低減する効果が期待できるとされているのも大きな一因といえるでしょう。
また、植物性食品には抗酸化物質や食物繊維が豊富に含まれており、健康維持に役立ちます。
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理由②環境を保護するため
「環境の保護」を考慮してヴィーガンを選ぶ方もいます。
畜産業では、広大な土地で大量のエネルギーを用いて牛や豚などの家畜を飼育する必要があります。その際には大量の水や飼料を必要とし、生産や輸送においてはメタンガスや二酸化炭素の排出も多いのが実情です。
また、牛や羊の放牧の為に森林を伐採する場合もあります。そのため、動物性食品を食べない「ヴィーガン食」に切り替えることで、地球温暖化など環境への負荷を軽減することが可能になるという考え方があります。
理由③世界的な食糧問題を解決するため
世界的な食糧問題を解決するためにヴィーガンを選ぶ方がいます。
畜産業では大量の穀物や豆を飼料として使用します。また、水や飼育に適した広い土地も必要です。これらを畜産で消費するのではなく、人間の食糧に転用することで、世界的な食糧問題の解決につなげていくことが期待されています。
この畜産におけるコストの縮小の考え方は、先程の環境保護にもつながっていくことが考えられるでしょう。
理由④倫理的な問題を感じたため
動物の権利や福祉に対する関心が高まったことによる「倫理的な問題」を感じたことにより、動物を搾取しないライフスタイルを目指し、ヴィーガンを選ぶ方もいます。
近年では、食肉の在り方や実験におけるネズミなどの動物の使用、病気にかかった動物の処分など、畜産業の問題に対する意識が高まっています。
また、「必要以上に牛や鶏や豚が殺生される必要はない」と考える方も多いことが考えられるためです。このように、動物に対する考え方も多様化してきているのが現状となっています。
ヴィーガンを選択する注意点
文化やさまざまな思いからヴィーガンを選択する方がいますが、実際にヴィーガンの生活を選択し続ける上での注意点もいくつかあります。中には健康面に影響を及ぼすこともあるため、注意が必要です。以下で具体的に解説していきます。
注意点①ビタミンB11が不足しやすい
ヴィーガン食は、ビタミンB12が不足しやすい食生活といえます。
ビタミンB12は体の代謝や血を作るために大事な栄養素ですが、この栄養素は主にレバーなど「動物性食品」に多く含まれているため、野菜だけによる栄養補給は困難です。そのため、ヴィーガンの方はビタミンB12をサプリメントや強化食品で補う必要があります。
ビタミンB12が不足すると、貧血や神経障害を引き起こし、体に大きな不調をきたす可能性があるため、特に注意が必要です。動物性由来成分が使われていないサプリメントもあるので、積極的に摂取しましょう。
注意点②外食時に食品や調味料を確認しなければならない
ヴィーガンの方は、外食時に食品や調味料に動物性成分が含まれていないか確認しなくてはなりません。自炊であれば自分で食材を選択できるので問題ありませんが、外食時にヴィーガン専門店ではない店を利用する際には、十分に気をつけましょう。
特に日本では、魚介類や出汁が多く使用されているため、ヴィーガンの意に反してしまうため、注意が必要です。ヴィーガン専門店以外で食事をする場合は、お店に確認することで安心して食事が楽しめるでしょう。
注意点③畜産業や漁業が下火になる
肉や魚を食べない食生活であるヴィーガンの普及がこのまま進むと、肉や魚の需要が下がってしまうことから、畜産業や漁業の供給が下火になる可能性があります。
これにより、関連産業や地域経済に影響が出ることが懸念されています。
食生活の選択は個人の自由ではありますが、ヴィーガンに関しては畜産業や漁業に従事する人々の生活にも影響を及ぼすおそれがあるでしょう。そのため、このままヴィーガンが増え続けるのであれば、社会全体における畜産業や漁業の供給バランスを考える必要が出てくるでしょう。
ヴィーガンライフの実践に向けて
この記事では、ヴィーガンのライフスタイルの詳細や、ベジタリアンとの違い、実際にヴィーガンを選択する方の理由や注意点まで幅広く解説しました。
ヴィーガンは、健康や環境、倫理的などのさまざまな観点から注目されており、世界で取り組まれているSDGsにも関連する内容もあります。
しかし、ビタミンB12の不足や外食時の注意点など、実践する上での健康面の大きな課題も存在します。
健康的な生活を維持するためにも、ヴィーガンを選択する際には、これらの注意点を理解し、バランスの取れた食生活を心がけることが重要です。
また、ヴィーガンの選択は個人の価値観やライフスタイルに大きく影響しているため、その背景や理由を理解して十分に向き合っていく事が大切です。
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監修者
鶴 洋輔
GOLDEN EYE SPARK株式会社
代表取締役
経歴
外資系IT企業出身、「健康食」である金の目のラムしゃぶを広げることに注力し、東京銀座におけるラム肉のパイオニアとして今年で25周年を迎える。
総理大臣経験者や数々の芸能人など各界の著名人の常連客が多い。
近年はラムしゃぶ以外のグリルや薬膳料理も好評を博している。